旅先作家という生き方

12月からはじまるセブ島留学に備えて、ユニクロで靴下とパンツ、Tシャツを買った。

セブ島は年間を通して夏らしく、これから冬を迎える日本で夏用の服を買うのはすこし変な感じがした。

帰り際、駅ナカにある立ち飲み屋「豊祝」に寄った。

新鮮な日本酒や料理をリーズナブルに提供する蔵元直営の居酒屋で、地元のおじさんたちでいつも賑わっている。

夕方6時を過ぎたばかりだったので、いつもより空いていたが、仕事帰りのサラリーマンが続々と店にやってくる。

正直に言うと日本酒があまり好きじゃないので、いつも生ビールを注文する。

うす暗い店内は雰囲気がよく、だれにも邪魔されず一人で飲むのにぴったりだ。

周りの話し声も適度に心地いい。

ふと、昨日買った浅田次郎の旅エッセイ『つばさよつばさ』を広げてみると、冒頭にこんな一節があった。

気の向くまま旅に出て、山あいの鄙びた温泉宿に泊まり、湯につかりながらあれこれと物語を練り、原稿を書く。一仕事をおえればまたふらりと旅立って、まったく無意志無計画に次の宿を探す。いわゆる旅先作家の暮らしである。

仕事にとらわれず、自分の好きな時に好きな場所に行く。

旅をするように生きる。

そんな暮らしにずっと憧れていたことに、ふと気づいた。

いままでいろいろやってきたが、最近やりたいことがわからずに悩んでいた。

でも、根本には時間や場所にとらわれない自由な暮らしがしたいという願望があった。

紙と筆だけあれば生きていける旅先作家のように、パソコン一台で海外を旅しながら生きる。

セブでプログラミングと英語を学ぶのも、いつかそんな夢を実現したいという淡い思いからだった。

現実はそう甘くないのはわかっているけど、この気持ちだけは忘れないようにしたい。

ちなみに、旅先作家という暮らしを手に入れ、1年の3分の1を旅して暮らす浅田次郎はその実情をこう書いている。

旅に出るというより連れ出され、版元が用意したホテルに泊まる。そこで机に向かい、旅情とはおよそ関係のない、すなわち当面締切の迫った原稿を書く。

現実はなかなか厳しそうだ。

つばさよつばさ (小学館文庫) [ 浅田次郎 ]

created by Rinker

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です