雑記

アメリカ人の人助けとペイフォワードの精神

『What Would You Do?(あなたならどうする?)』という面白い番組がある。

アメリカの3大ネットワークABCニュースで、2008年から放送されている社会実験番組というかドッキリ番組。

お店やレストランに隠しカメラを設置し、人種差別や暴力、ヘイトクライムを目にしたとき人はどういう反応をするのかモニタリングする。

目の前の理不尽な状況に怒りをあわらに抗議したり、困っている人のために救いの手を差し伸べたり、正義や弱者のために立ち上がる被験者の姿が、毎回大きな感動を呼び話題に。

個人的には英語の勉強にもなるし、内容も面白いしでたまに観ている動画の一つ。

1皿を3人でシェアする貧しい家族

今回の舞台は、貧困ラインを下回る人の割合が全米で一番高いルイジアナ州。

とあるメキシコ料理店で、お金がなく1つの料理を3人でシェアする貧しい家族がいた。

「シェアしたくない」と小さい娘が駄々をこね、誕生日の息子は「こんなんじゃ足りない、ケーキも食べたい」と言う。

みかねた母親は自分の分まで息子にゆずろうとするが、「どうして自分たちだけいつもこうなの?」と満足いかない子供たち。

そして、それを見ていた周りの被験者である客は、果たしてどういう行動をとるのか。

積極的に人助けをするアメリカ人

番組を見ていて毎回驚くのが、困っている人を助けようとする人が本当に多いこと。

日本だったら「人目もあることだし」と気づいていても無視しそうな場面でも、アメリカ人は割とすんなり助けようとする。

しかもごく自然に、そうすることが当たり前のように。

たとえば今回の実験では、お金がなくて困り果てている母親に100ドルも恵む女性。

家族のためにこっそりと3人分の料理をオーダーし、自分につけておいてくれと頼む若い男性。

ダダをこねる子供に「ピザはシェアするでしょ?」と優しく諭す女性など。

見ず知らずの他人でも、困っているなら積極的に助けるのがアメリカ人だとわかる。

ちなみに実験の舞台となる街は毎回変わるが、全米どこにいってもだいたいこんな感じである。

面白い調査がある。

イギリスのチャリティーズ・エイド・ファンデーションが世界中の人々を対象に、直近の1か月で見知らぬ人を助けたかどうかというインタビューを行った。

その結果、アメリカは3位だった。

1位はというと西アフリカにあるリベリアで、2位はシエラレオネ(リベリアの隣国)。

つまり、アメリカは先進国でトップということになる。

ちなみに、日本は125位で調査国中で最下位という不名誉な結果だった。

さらに、直近3か月間の寄付とボランティアの有無の調査項目を加えた総合ランキングでは、アメリカが1位だった。

この結果からわかるように、アメリカ人の間には困っている人を助けるという文化がほかの国より根付いている。

ペイフォワードの精神

今回の実験でもうひとつ興味深いのが、2人の女性から出た「Pay it forward(ペイフォワード)」という言葉。

ペイフォワードとは、ある人がなにか厚意を受けとると、それをその人にペイバックするのではなく、別のだれかに厚意を与えること。

つまり、最初に厚意を受け渡した当事者同士で完結するのではなく、それを次の人、さらに次の人へとどんどん広げていく。

そうすることによって、社会全体にポジティブな流れが生まれ、結果的に厚意が自分に返ってくるという。

もとは、『ペイ・フォワード 可能の王国』(2000年)というハリウッド映画で話題になった考え方で、アメリカではかなり浸透しているよう。

その証拠に、面白いエピソードがある。

2017年の父の日、米インディアナ州のマグドナルドのドライブスルーで、ひとりの女性が後ろの車の父子に「ハッピーファーザーズデイ」というメッセージとともに食事代金を支払った。

このペイフォワードを受けた父親は、後ろの車2台分の注文料金を支払い、この父親からペイフォワードを受けた客もさらに後ろの車の注文料金を支払った。

この後ろの客の注文料金まで払うという厚意は、最終的に167台も続いた。

しかも、最後は閉店して後ろの客の分を払えなくなって終わったという。

同様のペイフォワードは、2015年にフロリダ州のドライブスルーでも起きていて、そのときは250台に渡って善意のバトンがつながれた。

トランプ政権による移民排斥の動きが加速するなか、市井の人に目を向けると積極的に困っている人に手を差し伸べたりと、助け合いの文化がある。

そこには人種や宗教に関係なく、ただ博愛の精神があり、暗い世の中を照らす明るい希望になるに違いない。

ペイ・フォワード [ ケヴィン・スペイシー ]
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