トロントのリトルペルシャとイラン料理

トロントで初めて住んだのがノースヨークだった。

ダウンタウンまで地下鉄で30分、路線図の北端にして終点。

いかにも郊外という感じのエリアで、住むのに不便しなかったわけではないが、わりと気に入っていた。

コリアンタウンとしても知られていて、韓国系の店がたくさん集まり、街には活気があった。

駅前も韓国人の若者だらけだったが、目抜き通りのヤングストリートを北に歩いていくと奇妙な場所に出くわす。

スーパーや飲食店などが立ち並ぶそのエリアはアイラニアン・プラザ(Iranian Plaza)といい、看板がすべてペルシャ語。

初めて見たときは、その異様な光景に圧倒された。

イラン人が多いノースヨーク

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世界中から移民が集まるトロントには、ダウンタウンを中心に大小様々なエスニックタウンがある。

観光地としても人気のチャイナタウンやコリアンタウン、リトルイタリーやリトルポルトガル、リトルインディアに北米最大のグリークタウンなど。

さらには郊外にも広がりを見せ、第二のコリアンタウンとして発展するノースヨークのヤングストリート沿いは、多数のイラン人が集まり「リトルペルシャ」とも呼ばれている。

なかでも、ニュートンブルックやウィローデールと呼ばれる地区は、トロントでも一番ペルシャ語話者(ファールシー)が多く、街を歩いていると普通にペルシャ語が聞こえてくる。

そんなニュートンブルックにあるのが、アイラニアン・プラザ(Iranian Plaza)で、ここだけ特にペルシャ語の看板が密集している。

もっと言うと、歩いているのは韓国人やイラン人、中国人ばかりで、あまりカナダにいる気がしないのがノースヨークである。

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アイラニアン・プラザのランドマーク的存在が、24時間営業のアルゾンスーパーマーケット(Arzon Supermarket)。

イランの食材を豊富に扱う、まさにイラン人によるイラン人のためのスーパー。

ちなみにすぐ近くには、コーラク(Khorak Supermarket)というこれまたイラン系のスーパーがある。

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所狭しと商品が並ぶ店内は、イランの音楽が流れ、イランの国旗がはためき、イラン国王の肖像画が飾られている。

アジア人は自分一人だけで、客も店員も当然のようにペルシャ語を話していた。

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店の奥には小さなフードコートがあり、気軽にイラン料理を楽しむことができるのも魅力の一つ。

買い物ついでに利用する人や、はじめからテイクアウト目的で来る人など。

トロントにいるイラン人にとっては欠かせない場所として機能している。

イラン料理あるいはペルシャ料理

イラン料理もしくはペルシャ料理と聞いて、みなさんは何を思い浮かべるだろう。

むろんイランという国を知らなかったわけではないが、イラン料理には全く無知で、食べるのも初めてだった。

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上の写真は、ケバブクビデ(Kabab koobideh)というイランの定番料理。ひき肉をこねて串焼きにした一品で、日本のハンバーグに似ている。

ライスにはサフランが混じっていて、イランではよく使われるそう。なによりサフランの世界生産量の9割以上がイランである。

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アダスポロ(Adas Polo)というレンズ豆とレーズンの炊き込みご飯。

イランでは炊き込みご飯のことをポロといい、さまざまな種類のポロがある。

これはレーズンが入ったものだが、初めて食べる風味だった。

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こちらはバガリポロ(Baghali Polo)。そら豆とディルというハーブを炊き込んだご飯で、白身魚のフライがのっている。

日本にもそら豆のご飯はあるが、ハーブとの組み合わせは独特だった。

大きなフライの正体が気になり、店のおばちゃんに話しかけると「韓国人か?」と訊かれた。

「いや、日本人だ」と答えると、珍しいのか心なしか嬉しそうだった。

周りはコリアンタウンで韓国人だらけである。

そう思われても無理はないが、結局トロント滞在中一度も日本人とは訊かれなかった。

トロントでは、アジア人イコール中国人か韓国人である。

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日本ではめったに食べられないイラン料理にハマり、アイラニアン・プラザには何度か足を運んだが、一言で言うと独特である。

シンプルな白米を食べ慣れている日本人からすると、イラン料理のライスは今までに味わったことのない風味で、口に合わない人もいるだろう。

ただ、食を通して異国の文化に触れることは、自分の世界を広げてくれる。

それぞれが自国の文化や伝統を守りながら生活する、人種のモザイク都市トロントならではの経験である。

ちなみに、ペルシャ料理を食べるなダウンタウンにある「Pomegranate Restaurant」がおすすめ。

値段は少し張るが、週末などは満席になるほど人気で、本格的なペルシャ料理が食べられる。


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