『勝手にしやがれ』沢田研二

気分があがらない日曜日の夕方。

車を走らせていると、ラジオから聞き覚えのあるメロディーが聞こえてきた。

ドラマチックなピアノの前奏につづいて、ジュリーが「 壁際に寝返りうって〜」と歌い出した。

『勝手にしやがれ』沢田研二

1977年にリリースされたジュリーこと沢田研二の19枚目のシングル『勝手にしやがれ』。

第19回日本レコード大賞、第8回日本歌謡大賞、第10回日本有線大賞を受賞した、名実ともにジュリーの代表曲として知られている。

タイトルはフランス映画界の巨匠ジャン=リュック・ゴダールの『勝手にしやがれ』がもとで、歌詞の内容も映画とすこしリンクしている。

映画ではジャン=ポール・ベルモンド演じる主人公が、ラストで恋人に裏切られてしまうが、ジュリーも女にフラれた男の心情を歌っている。

壁ぎわに寝がえりうって
背中できいている
やっぱりお前は出て行くんだな
悪いことばかりじゃないと
想い出かき集め
鞄につめこむ気配がしてる
行ったきりならしあわせになるがいい
戻る気になりゃいつでもおいでよ
せめて少しはカッコつけさせてくれ
寝たふりしてる間に出て行ってくれ

壁ぎわで寝たふりをしている男と、荷物をまとめて部屋を出て行こうとする女。

かっこつけてはいるものの、内心では「いつでも戻ってきていいよ」と女々しさをのぞかせる。

バーボンのボトルを抱いて
夜ふけの窓に立つ
お前がふらふら行くのが見える
さよならというのもなぜか
しらけた感じだし
あばよとサラリと送ってみるか
別にふざけて困らせたわけじゃない
愛というのに照れてただけだよ
夜というのに派手なレコードかけて
朝までふざけようワンマンショーで

部屋に一人取り残され、窓から去っていく女に「あばよ」と捨て台詞を吐く。

そして、気を紛らわすため派手なレコードをかけ一人で朝までふざける。

ワンマンショーで。

作詞は、昭和を代表する作詞家・阿久悠。

女にフラれ、一人部屋に取り残された男のかっこわるい歌。

だけど、ジュリーが歌うとめちゃくちゃかっこよく聞こえる。

「アア〜アアア〜〜」と甘ったるい歌声で両手をあげながら踊るジュリーには、昭和の歌謡曲の古さを補って余りあるかっこよさがある。

斜に構えて途中でポーズを決め、キザに歌う姿も見事にはまっている。

「スターというのはこういう人のことを言うんだな」と納得させられる名曲。

ああ、ジュリーみたいな歌手に生まれたかったなあ。