カメラ片手に街を歩いていると、一人の青年に声をかけられた。
カメラを持っているのを見て、vlogをやっているかと聞かれ、はいと答える。
すると、自分もやっている、でもいまカメラがない。だから一緒にやらないか、手伝ってくれないかと誘われた。
知らない青年に助けを乞われる
フィリピンに来てもうすぐ一年、街中でこのような形で声をかけられるのは初めてだった。
突然の誘いに驚いたが、言われるままにYouTubeで名前を調べると、彼のチャンネルが出てきた。
投稿されていた動画は2本だけで、最近始めたという感じ。
もう少し具体的に聞いてみると、vlogでお金を稼ぎたいけど、スマホをひったくられた。
動画を撮ってくれる人を探していて、カメラを持っていたから声をかけた。
たくさん友達がいるから、あなたのチャンネルの再生回数も増える。
だから、一緒にコラボしないかと話しかけた。
なるほどと思ったが、基本的に仕事があって忙しい、普段は何をしているのかと聞くと、働いていないという。
コロナの影響で仕事がなく、代わりにvlogでお金を稼ぎたいと。
いやいや、そんな簡単に稼ぎるわけがないと言ったが、トップユーチューバーのZeinab Harakeにもアプローチできると語る。
しかし、彼のチャンネルを見た限りでは、そんなふうには見えない。
話を聞いた感じでは、20代前半の初心な青年が、YouTubeやTiktok で一獲千金の夢を見ているようにしか見えない。
現実はそんなに甘くないし、成功できる保証もない。
vlogだけで食べていくのに、どれだけ時間がかかるかもわからない。
だから、まずは仕事を見つけて、空いてる時間でYouTubeやTikTokをやるのがいい、それでなら手伝うとこともできると言うも、聞く耳をもたない。
同情を求めるような表情で、しきりに手伝ってくれないかと訴えてくる。
ただ、素性もよく分からない青年に、カメラを持っているからという理由で話しかけられても、さすがに手伝う気にはならない…。
わかった、後でメッセージしてくれと言ってその場はやり過ごしたが、今後やり取りすることはないだろう。
助けを求めるのはいいが、最初から他人に頼るのはよくない
人に助けを求めるのは悪いことではない。
僕も今までたくさんの人に助けられてきた。
ただ、安易に助けを求めるはよくない。
最初から他人の力をあてにすると、誰も扶けてくれないし、自分のためにもならない。
今回のケースだと、YouTubeでお金を稼ぎたいのはわかる。
ただ、まずは仕事を見つけて、スマホを買って、動画を投稿して自分でチャレンジしてから。
自分でやれることをやってみて、それでうまくいかないなら、周りに助けを求めればいい。
そもそも僕が手伝ったところで成功する気はしないし、何にもならないだろう。
助け合いの精神が強いフィリピン
フィリピン人は日本人より助け合いの精神が強い。
国民の大半が、隣人愛を説くカトリックを信仰し、僕もフィリピン人には助けられてきた。
ただ、安易に何でもかんでも助けると、助けられた人のためにならず、相互依存のような悪い状態に陥ってしまう。
今回、彼と話していても、助け合うのが当然というような雰囲気を感じたし、しきりにhelpと言っているのが印象的だった。
助け合いの精神はすばらしいが、他人に甘えて何でもかんでも助けを乞うのはよくない。
助けられる人というのは、自分から助けを求めなくても、努力している姿を見た人がこっそり助けてくれるもので、そういった人が成功するのだと思う。
ストレートに助けを求める初心なフィリピン人の青年を見て、そう感じた。