部下の育成にコーチングを導入しよう『新 コーチングが人を活かす』

部下の育成のヒントをつかめるかもと『新 コーチングが人を活かす』を読んでみた。

2000年の刊行以来「コーチング最良の入門書」として高い評価を受け、一番売れていると言われるコーチング本。

コーチングに関する本を読むのは初めてだったが、上司として部下の育成に役立つ考え方がちりばめられていた。

部下の育成に悩む人向けに、特に役立つと思ったコーチングスキルをピックアップして紹介する。

目次

コーチングとは発見をうながすこと

まずは、本書のタイトルでもあるコーチングについて正しく理解する必要がある。

筆者によれば、コーチングとは問いを2人の間に置き、一緒に探索して、その中で相手の発見をうながすというもの。

これを聞いただけで理解するのはなかなか難しいが、重要なのは〝相手の発見をうながす〟という点。

相手の中にある答えをどのように気づかせてあげるか、それが本書で語られるコーチングのキーワードになる。

上司と部下の関係を例に出すと、「君はどう思う?」と上から目線できくのではなく、「この会社の存在意義は何だろう?」というように、問いに対して等しく向き合い一緒に考える。

〝引き出す〟のではなく〝一緒に考える〟

対等の立場で問いを相手と共有する、それがコーチングの姿勢で、これは部下を育成するという点においても非常に重要だと感じた。

忙しいとすぐに部下に答えを与えがちだが、育成という長期的視点で考えると発見をうながすための時間を与える方がいい。

自分で答えを見つけるという経験を通してこそ、使える知識として定着し、それが部下自身の成長につながる。

主体的に考えて動ける部下を育てるためにも、〝発見をうながす〟〝信頼して待つ〟という姿勢は常に意識したい。

チャンクダウンは上司の役割

では、相手の発見をうながすためにはどうすればいいのか。

質問の仕方が鍵を握る。本書ではそのための質問スキルがいくつか紹介されている。

なかでも特に大切だと感じたのは、チャンクダウンのスキル。

チャンクダウン(かたまりをほぐす)とは、相手の大きな言葉のかたまりを具体的な小さい言葉にほぐすこと。

例えば、上司と部下のやり取りで「仕事の進み具合はどう?」という質問に「あまりうまくいっていません」という答えが返ってきたとする。

ここで「どうしてうまくいっていないんだ!」と詰問するのではなく、「具体的にどういうことがうまくいっていない?」と大きなかたまりをほぐしていく。

これを何度か繰り返すことによって、部下の状況を正確に理解することにつながる。

部下の抽象的な回答に要領を得ない経験をしたことは誰でもあるだろう。そんなときチャンクダウンを使えば、適切な答えを引き出すことができる。

そもそも部下は質問にチャンクで返すということを理解するのが大切。それをときほぐすのが上司の役割だと認識すれば、部下との関わりもずっとよくなる。

〝なぜ〟のかわりに〝なに〟を使う

また、コーチングのスキルとして重要なのが、〝なぜ〟のかわりに〝なに〟を使うということ。

なぜなら、人は〝なぜ〟ときかれると、責められることを想定して防御体制に入ってしまう。

代わりに〝なに〟ときいてあげることによって、相手の発見をうながしやすくなる。

例えば、「なぜミスをしたのか?」ではなく、「なにが具体的にミスを引き起こす原因になったのか?」ときく。

すると、相手は客観的に現実を捉えることができ、適切な情報を引き出すことができる。

これは今まで何回も経験があり、部下がミスをしたら上司はつい「なぜ?」ときいてしまいがちだ。

責めるつもりはなくても、部下からしたら責められているように感じるのは経験があるし、つい自己防衛に入ってしまう。

そしてミスを誤魔化そうとして、正しいミスの原因を引き出せなかったという経験はよくある。

部下の立場に立って考えれば、上司から〝なぜ〟ときかれれば、必要以上のプレッシャーを感じるのは当然。

少し焦点を変えるだけでできることなので、上司としてこのことはしっかり肝に命じておきたいと思った。

安心感で人を動かす

また本書を読んで感心したのが、安心感で人を動かすということ。

人を動かす方法といえば、アメとムチ、褒めちぎることなど思い浮かべるが、安心感を土壌に相手に行動をうながすのがコーチング。

そして安心感を与える最も強力な方法が、〝同じ言葉を繰り返す〟こと。

コミュニケーションのテクニックにオウム返しというのがあるが、これは単に相手に賛成することではなく、相手がそういう状態にあることを認めることだという。

この受容されているという感覚が相手の中に安心感を生み出し、行動させることにつながる。

例えば、部下が「最近ちょっと疲れてるんです」と言うと「疲れてるんだね」と認めてあげる。

体育会の上司なら「もっとがんばれよ」なんて言いそうだが、それでは相手は動かない。

まずは相手の言葉をオウム返しで受け止め、しっかり安心感を作り出すことが大切。

部下の育成に役立つコーチングスキルが盛りだくさん

ということで、いくつか部下の育成に役立つコーチングスキルを紹介した。

ほかにも「おはよう」「大丈夫?」などの通りがかりの一言で、信頼関係を構築するなど。

本書では、部下の育成、関わり方に役立つコーチングスキルが盛り沢山なので、部下の育成に悩む上司にぜひとも読んでもらいたい。

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