日本ではあまり知られていませんが、フィリピンはコーヒーの生産国です。
古くはスペイン植民地時代から栽培されていて、フィリピンを代表するコーヒーが「バラココーヒー」。
力強い風味が特徴で、タガログ語でカペンバラコ(Kapeng Barako)と呼ばれます。
フィリピンのバラココーヒーとは
フィリピンを代表するコーヒーとして、古くから親しまれてきたバラココーヒー。首都マニラの南に位置するバタンガス州とカビテ州で生産されています。
品種は、世界的に珍しいリベリカ種。タガログ語の呼称は、カペンバラコ(Kapeng Barako)。カペン(Kapeng)はコーヒー、バラコ(Barako)は雄牛のことで、風味が強いコーヒーという意味。
フィリピンの伝統的なコーヒーとして、年配の方にはおなじみですが、外資系のカフェの影響もあり、若い世代では知らない人も結構います。
リベリカ種とは
バラココーヒーの品種はリベリカ種。アラビカ種やロブスタ種と同じコーヒー三大原種のひとつです。
原産地はアフリカのリベリア、世界全体のコーヒー流通量の1%にも満たないマイナーな種。
日本でもあまり見かけることがなく、バラココーヒーも通販以外では扱っていないようです。
フィリピンのコーヒーの歴史

フィリピンのコーヒーの歴史が始まったのは1740年。フランシスコ会の修道士がバタンガス州のリパに、コーヒーを植樹したのが始まりです。
リパを中心に同州のほかの地域でも生産が広がり、バタンガス州はコーヒーの産地として有名に。アメリカだけでなく、ヨーロッパへも輸出されるよになり、フィリピンは世界第4位のコーヒー輸出国になります。
しかし、1889年にコーヒーの天敵であるさび病が蔓延。生産量は暴落し、農家は激減しました。戦後アメリカから援助を受け、コーヒーの栽培が復活したのが1960年ごろ。
世界的にはあまり有名ではありませんが、現在もフィリピン国内ではコーヒーが生産されています。
フィリピンのコーヒーの流通量
フィリピンではここ数年、年間平均3万7000トンのコーヒーが生産されています。そのうち約70%がロブスタ種で、アラビカ種は20%。そしてリベリカ種はわずか数パーセント。
古くから親しまれてきたバラココーヒーですが、国内でも流通量が少なく、一部のお店でしか取り扱っていません。
また、近年は外資系カフェの台頭により、バラココーヒー自体の需要が低下。そこでフィリピンの伝統的なコーヒーを守ろうと、保護・普及活動に取り組んでいる企業もあり、次に紹介するカフェがその一つです。
バラココーヒーが飲めるカフェ
Cafe de Lipa

バラココーヒーで有名なカフェが、Cafe de Lipa。バタンガス州のリパをはじめ、フィリピンで生産されたコーヒー豆を扱っています。
お店があるのは、BGC(ボニファシオ・グローバルシティ)にあるMarket! Market!の1階部分です。

Barako Joeという定番のバラココーヒー(110ペソ)。注文したのはアイスです。
初めて飲んだ感想は、すっきりしていて飲みやすい。エアロプレスを使っているからか、とてもさっぱりしています。

店内では、コーヒー豆も購入可能です。バラコブレンドは、250グラムで199ペソという安さ。
スターバックスだと450ペソ以上しますから、とてもリーズナブルです。
Figaro

もう一つバラココーヒーを取り扱う店として有名なのがFigaro。同じBGCのハイストリートにあります。
フィリピン発のチェーンカフェで、サウジアラビアやマレーシアなど海外にもフランチャイズを展開しています。

バラココーヒーをはじめフィリピン各地の豆を買えるのですが、ロックダウンの影響か在庫がありませんでした。
店内で提供しているコーヒーもアラビカ種のブレンドのみで、バラココーヒーは飲めず。
ただ、ほかのフィリピンのチェーン系のカフェより美味しいです。
バラココーヒーの飲み方
もともと鍋で煮出して飲まれていたバラココーヒー。現在はフレンチプレスで飲むのが一般的です。
お湯を注いで待つだけでなので、だれでも簡単にコーヒーを淹れることができます。
ちなみに、Cafe de Lipaでは空気の力を利用して抽出するエアロプレスを使っていました。
よりスッキリとした風味になるのですが、手間がかかるのでフレンチプレスがおすすめです。
バラココーヒーを家で淹れてみた

Cafe de Lipaで購入したバラコーヒーを自宅で淹れてみることに。

豆はこんな感じです。抽出方法は、バラココーヒーでは定番のフレンチプレスです。
マンデリンのような土っぽい風味に、すっきりとした後味。しっかりとした風味のある美味しいコーヒーです。これが250グラムで199ペソは、かなり安いです。
バラココーヒーの通販
日本ではなかなか飲めないバラココーヒーですが、エクーアというブランドがAmazonで販売しています。
ただ、コロナの影響で入荷がストップしているようで、再開するのを待つしかない状況です。
同じフィリピン産のコーヒーとして、シベットコーヒーも有名です。
ジャコウネコの糞から採取され、希少性の高さから「幻のコーヒー」と呼ばれます。
セブ島のITパークには、The Civet Coffeeというカフェがあり、日本人留学生の間でも知られていますね。
