あるヨギの自叙伝

時間を持て余すと、余計なことを考え始めるのが人間の性である。

この先人生どうなるのか。

人生の使命は何か。

そもそも自分は何のために生まれてきたのか。

無駄に深刻なことばかり考えて、答えの見えない問いに悶々とする。

ここ最近そんなことばかり考えて、気持ちが落ち込んだりもしていたが、ある一冊の面白い本に出会った。

『あるヨギの自叙伝』というパラマハンサ・ヨガナンダによる自叙伝である。

こう言うと宣伝くさい感じがするが、スティーブ・ジョブズがiPodに入れていた唯一の本として知られている。

ヨガナンダは、インドで生まれヨガを世界に広めた偉大な人物である。

「西洋ヨガの父」として称えられる彼は、幼い頃から特別な体験を通して霊的なインスピレーションを獲得していた。

母親のお腹の中にいたときのことを覚えているのもそのひとつで、読者はヨガナンダの生涯を通してさまざまな気づきを得ることができる。

例えばあるとき、弟のビシュヌが銀行の通知書に多額の預金があることを発見して、驚いて父に尋ねると、父はこう答えた。

「物質的な利益に、どうしてそんなに有頂天になるのだ。

心の落着きを人生の目標にする者は、自分の持ち物が増えたからといって喜び、減ったからといって悲しんだりするものではない。

人間は裸でこの世に生まれ、無一文でこの世を去るのだ」。

 

また、ヨガナンダが幼少時にアジャ・コレラにかかり瀕死の状態をさまよっていたときのこと。

すでに医者も手の施しようがない絶望的な状態だったが、母が狂気のように壁に掛けられた大師ラヒリ・マハサヤの写真を指してこう叫んだ。

「心の中で大師を拝みなさい!

もしもお前が、ほんとうの信仰をもって、心の中で大師にひざまずくなら、お前の命はきっと救われます!」。

すると突然、まばゆい光が部屋全体を包みこみ、それまで感じていた吐き気などの症状がたちどころに消え、病気はうそのように治ってしまったという。

ほかにも、この大師ラヒリ・マハサヤは、写真を撮られるのが大嫌いで、弟子たちと一緒に写真を撮っても、現像すると大師のところだけ空白になっていたなど。

摩訶不思議な人物や教訓めいたエピソードが次々と登場する。

かなり分厚い本で、まだ序盤しか読んでないが、人生に迷っているときに何かヒントをくれるような、そんなゆっくり時間をかけて読んでいきたい本である。

読み終わるころには、スティーブ・ジョブズが唯一この本だけをiPadに入れていた理由がわかるかもしれない。

あるヨギの自叙伝 [ パラマハンサ・ヨガナンダ ]

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